なぜ腰痛は起きる?原因が特定できる腰痛、特定できない腰痛とは?その原因と対処方法 Vol.2
公開日:執筆・監修者
村木 良博
(有)ケアステーション 代表取締役 スーパーバイザー
(財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー マスター(JSPO-ATマスター)
【役員】
(公財)日本オリンピック委員会 強化スタッフ
(公財)日本テニス協会 ナショナルチーム委員会
(公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー部会員
(社団)日本アスレティックトレーニング学会評議員
元日本バスケットボール協会医科学研究部員
元日本陸上競技連盟医事委員会トレーナー部会長
【講師】
花田学園アスレティックトレーナー専攻科非常勤講師
東京有明医療大学 非常勤講師
東京医療福祉専門学校教員養成科 非常勤講師
目次
日常動作での注意点
日常の動作姿勢についても、注意すべきことがあります。腰に負担のかかる動作を続けると腰痛につながります。次のことに気を付けましょう。
下にあるものを持ち上げる際には、腰をかがめるだけではなく、膝を曲げて身体を低くしてから持ち上げましょう。
*図⑫:前かがみ姿勢(良い例、悪い例)
立ち仕事の場合は、両足をまっすぐにして立つのではなく、片足を15~20㎝くらいの高さの台に足を置いて作業をすると骨盤が安定します。洗顔や歯磨きのときも同様です。
イスに座るときは深く腰掛け、背すじを伸ばした姿勢ですわりましょう。
*図⑬ イスに座る姿勢(良い例ー悪い例)
長時間立っているときや座っているときは、時々体操したり、お尻や太もも、背中を伸ばしたり身体を動かしましょう。
長距離の車の運転などでは、降りる際に最も注意が必要で、不意に立ち上がった際に腰を痛めますので、腰を伸ばせる状態を一旦作ってからゆっくり立ち上がるとよいでしょう。
ストレッチ(イスに座った状態)
もし腰痛になったときは?
もしも、腰痛になってしまったらどうしましょう?病態にも程度にもよりますが、身体がピクリとも動かせない場合は安静が第一です。
仰向けに身体を真っすぐにして寝るのはとても腰に負担がかかりますので、枕や毛布を丸め膝の裏に置いて、股関節と膝を少し曲げた方が骨盤が安定するので負担は少ないです。
横向きに寝る時も腰と膝を曲げると腰への負担を減らせます。
横向きに寝る姿勢
仰向けに寝る姿勢
お尻や脚、つま先などにしびれや痛みが広がるようであれば、変性や神経根が何らかの影響で圧迫されている可能性があるので、医療機関での検査・診断が必要です。
また筋筋膜性の腰痛(原因がはっきりしないもの)でも、それが本当にそうなのかを判断するためには、医療機関を受診することをお勧めします。
医療機関受診のめやす
①身体を動かせることができない(少し安静期間を置き、動けるようになったら受診)②脚やお尻にしびれや痛みが広がる
③足や脚に感覚がない
④腰を強く打った、尻もちをついた、強く捻ったなどの原因がある
などの場合は、医療機関での検査をお勧めします。
腰痛のセルフケア
とくに変性や神経根の圧迫がない、労作、疲労性の軽度の腰痛であれば、ある程度、身体を動かせることができることが前提で、セルフケアが必要です。 臀部と大腿部の後ろをゆっくりとストレッチで伸ばしましょう。「冷え」からくる場合もあるため、局所の熱感がなければ少しぬるめのお湯に浸かり、身体を温め、そのあとゆっくりとストレッチをしましょう。
長時間同じ姿勢を取っていると、動き始めにかなりの痛みを伴うことがありますので、時々軽く体を動かし身体が動く状態を保ちましょう。
動く際には、腹圧を上げる(おなかに力を入れる)ことで、骨盤や腰椎が安定した状態になりますので、まずは、お腹に力を入れてから動くようにしましょう。
腹圧を高めるイメージは、風船を膨らますときのように、吹く時にお腹に力を入れるようにすると腹圧が高めることができます。
治療院(整骨院や鍼灸院、マッサージ治療院)などでの、温熱療法、電気療法、マッサージや鍼治療などの徒手療法も早く回復するのに効果的で、さらに専門家のアドバイスを受けられるので近くの専門家の方に相談することも有用です。
ある程度回復したら、筋肉を良い状態に保ち、悪化や再発を避けるために、さらにセルフケアに心がけましょう。
マッサージ
はり治療
骨盤周囲の筋肉(お尻や太もも、背中など)の、強化(筋を強く大きくする)をしましょう。
筋トレというよりも日常生活の中に少し運動(ジョギング、散歩、体操などの軽運動)を取り入れるだけでも効果があります。
日常生活に戻ったら
歩行や日常生活がなんとかできる、あるいはしなければならない場合は、骨盤や腰椎を一時的に安定させるための「腰サポーター」を装着することをお勧めします。
臀部や腰の筋を圧迫し、腹圧を上げやすい状態にするため、痛みを減少させることにつながり、悪化や再発を防ぐのに効果的ですので積極的に使う方が早く日常の動作に戻ることができるでしょう。
まとめ
腰痛は、原因がはっきりしているもの、はっきりしていないものがあり、その多くは原因がはっきりしていません。
いったん腰痛を引き起こすと、何もできない状態が長く続きますので、腰痛は起こさないのが一番です。予防には筋肉の状態を良くすることで、疲労を取り除き、ストレッチングや軽度の運動を継続的に行うセルフケアが大切です。
また日々何気なく行っている動作によることもあるので一度日常生活動作を見直しましょう。
もしも、腰痛を来した場合は、医療機関での検査と診断を受けたうえで、専門的な治療を受け回復するようにし、日常生活に戻る場合は、骨盤や腰部を安定させる「腰サポーター」の装着をして、悪化や再発を防ぎましょう。
次回予告
「腰痛に効果的なストレッチについて」です。
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