足が痛い原因!痛みの原因と対策を紹介 Vol.1
公開日:足は、人が身体を移動させる機能として重要な役割を持っています。
人は四足歩行から二足歩行へと進化しました。
二足歩行になったことで人は二本の足を地面に着け左右交互に体重を移動しながら身体を移動させています。
執筆・監修者
村木 良博
(有)ケアステーション 代表取締役 スーパーバイザー
(財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー マスター(JSPO-ATマスター)
【役員】
(公財)日本オリンピック委員会 強化スタッフ
(公財)日本テニス協会 ナショナルチーム委員会
(公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー部会員
(社団)日本アスレティックトレーニング学会評議員
元日本バスケットボール協会医科学研究部員
元日本陸上競技連盟医事委員会トレーナー部会長
【講師】
花田学園アスレティックトレーナー専攻科非常勤講師
東京有明医療大学 非常勤講師
東京医療福祉専門学校教員養成科 非常勤講師
目次
足について
足や足関節にかかる負担が増加し、トラブルも多く発生しています。スポーツでは、より強度の高い複雑な動作が要求されるため、さらに足や足関節への負荷が増大し、ケガへのリスクが高まります。
足には大小26個もの骨が機能的に連なり、人が歩行するときの様々な手助けをしています。
※図(足部の骨)
足首はこれらの上にスネ(脛)の脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)と2つの足の骨(距骨-きょこつ-)にまたがるような形で連結し、足首を形作っています。
※図(足関節の骨)
足の構成
足の骨の構成は、手の骨によく似ています。手は物を掴んで持ち上げますが、足も掴む機能があり、これは物を掴むのではなく、地面に足が接地すると足の指は地面を掴んで身体を安定させ地面から受ける衝撃を逃がすなどの機能を持っています。この、足が地面を掴む機能が低下すると、身体を支えることができなくなるなど様々な障害が出てきます。
特筆すべきは、足裏のアーチ(いわゆる土踏まず)の機能でしょう。
アーチは、親指の付け根(拇指丘-ぼしきゅう-)と小指の付け根(小趾丘-しょうしきゅう-)、踵の骨の頂点(踵骨-しょうこつ-)の3点を結んだ部分で、その3辺は弓状に持ち上がり、ドーム状の屋根のようになっています。これらのアーチは足の骨の連結に形成され、足の裏(足底筋膜)や脛の筋肉などによって強化されています。
※図(足底アーチ)
このアーチは、歩行の際に足が地面に接地した際に、アーチが沈み込む(たわむ)ことによって、地面からの衝撃を過剰に身体に受けないように緩衝します。これによりアーチがバネのような役割をして、身体への衝撃を緩和しているのです。
さらにこのバネの働きは、足の指が地面から離れる際に「地面を蹴る」動作につながり、歩行を助けています。だから人は二足でスムーズに地面を移動することができるのです。
※図(足の蹴り出し、荷重時のアーチの沈み込み)
足が痛む原因のケース
偏平足障害(へんぺいそく)
アーチの低下によりさまざまな症状が出ることがあります。アーチが低下する要因として、先天性のものや遺伝によるもの、成長期の急激な体重の増加や急激で過度なスポーツ、アライメント異常(とくに回内側足:足が内側に倒れこみ、縦アーチをつぶす形になる足)などが要因として考えられます。
この状態でスポーツを行うことにより、荷重時の衝撃をうまく緩衝できなくなり、様々な部位にストレスを生じ、筋、腱、骨など炎症を引き起こし、重傷な例として中足骨や脛骨の疲労骨折などに至る場合もあります。
※図(回内足、偏平足)
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
足底筋膜炎もアーチの機能低下によることが多く、スポーツでは以下の要因が重なるとアーチを支えている足底筋膜に過度なストレスがかかり炎症や腱膜(けんまく)の牽引により、踵の付着部に炎症を来すものも見られます。要因
①急激な体重の増加②急激な過度な運動
③運動不足
④サーフェースの硬さ
⑤下腿筋群(かたいきんぐん)の疲労による硬化
例えば、シーズン初めの時期に、身体が運動に慣れていないときに硬い地面で急に運動を再開するなど状況に加え、体重が増加した、体調がよくない、天候、気温や湿度などの季節的な要因などが重なると足底や下腿部にストレスが生じ、足底筋膜炎、中足部の痛み、脛(すね)の内側の痛み(シンスプリント)などの発症につながることが多くみられます。
外反拇趾(がいはんぼし)
足の趾(ゆび)に変形を来す外反拇趾を誘発するのもこのアーチの低下が大きな要因となっています。
アーチが低下し、足が内側に傾く(回内)と、内側の縦アーチが落ち込みます。
つま先の狭いきつい靴を履いてこの状況になると、内側のアーチが落ち込むと、連鎖的につま先の方は固定されるため、足趾が外側へ押しやられる形となります。
とくに親指の付け根(中足指節間関節-ちゅうそくしせつかんかんせつ-)の内側がシューズの内壁に衝突し、これが繰り返しの刺激によって親指の内側付け根がその刺激の方向(内側)へ化骨(かこつ)が形成し変形を来した結果、親指の付け根が内側へ突出し、足の趾が外側へ向いてしまう「外反拇趾」となります
※図(外反拇趾)
外反拇趾に変形してしまったものは、元には戻らないことが多いですが、症状を軽減させる、あるいは悪化を防ぐ意味で、以下のことを進めています。
外反拇趾の悪化を防ぐストレッチ
アーチ強化エクササイズ
①タオルギャザー(床に敷いたタオルを足の趾で手繰り寄せる運動)②アーチストレッチ(竹踏みの様に円形または半円形のもので足裏をストレッチ)
③カーフレイズ&ストレッチ(ふくらはぎのストレッチと強化)
アーチの落ち込みを防止するために、まずは足自体の強化と手入れをすることが必要です。
タオルギャザーは床の上(フローリングやタイルが望ましい)にタオルを敷き足の趾で手繰り寄せる運動です。足底筋や、足、足関節に関わる筋肉を強化して、アーチの落ち込みや足関節の不安定感を改善するエクササイズです。
※図(タオルギャザー)
また、同時に足や足関節に関わる筋肉が十分に柔軟性を持っていなければなりませんので、アーチのストレッチやふくらはぎ(カーフ)のストレッチを取り入れ、コンデションをよく保つことが重要です。
※図(カーフストレッチ)
青竹踏みは、昔からある優れたアーチのストレッチ器です。天然の竹を使ったものは今では手に入りにくくなっていますが、プラスチック製のものやテニスボール、軟式野球ボールなどの少し柔らかなボールを代用することもあります。
補助用具の使用で足を矯正
①インソール&アーチパッド:靴に内側アーチがあるインソールやパッドを挿入②足趾パッド:拇趾と示指の間に装着し足趾を開くパッド
③テーピング:テープで足趾を外側へ向かないように矯正
次回予告
足をケガしないため、かかとを中心とした普段の生活で注意することを解説していきます。
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